【書評】 われ敗れたり ― コンピュータ棋戦のすべてを語る

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HONZで教えてもらった一冊。Twitterでの天衣無縫ぶりが有名な米長名人永世棋聖(ご指摘感謝です!)が綴った、対コンピュータ戦の体験記です。

多くの方がご存知のように結果は残念なことに永世棋聖の敗北だったのですが、そこに至るまでの葛藤、用意周到な準備、研究の末に行き着いた「6二玉」の一手、当日犯してしまった痛恨のミスといったエピソードの数々に、読み終えたあとの感想は(失礼を承知ながら・・・)次のようなものでした。

このじいさん・・・、かっこいい!!!

「対コンピュータ」という新しいステージに入った将棋というエンターテイメントをいかに盛り上げるか・・・単に勝負に勝つことだけではなく、広く業界のことを考えながら奮闘する名人が実にかっこいいです。

「人間はいずれコンピュータに負ける。機械の計算には勝てないだろう。ただ、マラソンに人は感動する。速さだけなら車のほうが圧倒的に速いにもかかわらず、だ。そうした感動を将棋でも伝えなくてはいけない」

すでにチェスの世界一はコンピュータになってしまった。まだ囲碁というフロンティアが残されてはいるが、名人が言うように、将棋もいずれは・・・と思わせる現状がある。

エンターテイメントとは何か、感動とは何か、と苦悩しつづける永世棋聖の姿にこそ感動してしまった。棋譜が見たいわけではなくて、勝負というエンターテイメントを見たかったのだな、と改めて気付かされました。日本将棋連盟会長である永世棋聖のプロデュースによる、「これからの将棋」に期待したいと思います。

それから余談に近いですが、本書で一番印象に残ったのは勝負に出かける前の永世棋聖と奥様の会話です。永世棋聖の「俺は勝てるかな」という問いに対して奥様がびしゃりと一言。「あなたは勝てないでしょう、いまは若い愛人がいらっしゃらないようなので」。

さまざまな解釈が可能なのでつっこんだ感想は控えますがw、この名人にしてこの妻あり、と妙に納得してしまいましたよ笑。

HONZでもそう紹介されていましたが、読後感が実にさわやかな一冊だと思います。ぜひどうぞ。アルゴリズム好きな方には「6二玉」に行き着いた理由なんかもとてもおもしろいと思います。

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» われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

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  • Comments (1)
    • 校了君
    • March 5th, 2012

    米長名人→米長永世棋聖、または米長会長が肩書きとしては正しいです。米長さんは現名人ではありませんし、永世名人でも無いので。「名人の敗北」という書き方も正しくないです。現名人の森内俊之氏が負けたわけではないので。