- 2009-06-30 (Tue) 10:51
- 書評

まずは献本御礼。かなり良い本ですよ。わかりやすくて読みやすいし、すべての人に知っておいて欲しいお話だと思います。タイトルには「裁判員になったら読む本」とありますが、一般常識として裁判員になっていなくても読むべき本ではないでしょうかね・・・。
さきごろ始まった裁判員制度ですが、わりとひとごとだと思っている人も多いですよね(すみません、自分も・・・)。この本では、なぜこの制度ができたのか、現状の裁判のどこに問題があるのか、ひるがえって他の国ではどうなのか、といったことが実にわかりやすく説明されています。
■ 裁判官とはどういう人か?
個人的に特に勉強になったのは「裁判官とはどういう人か?」というくだりです。
裁判は「裁判官の心証を勝ち取る作業」です。そのためにはその人たちがどういう生活をしているのかを知る必要があるでしょう。でも裁判官とよく呑みにいくよー、という人には会ったことがないですよね。
そこで筆者は、裁判官はどういうキャリアを積んでいるのか、どういう生活をしているのか、呑みにいくならどんなところに行くのか、といったことを紹介しています。彼らが出世していくために必要なこととは何か、といったことも知れば、日本で「起訴された人が有罪になる確率が99.9%」という現実もなんとなく納得してしまいます。そしてそのために裁判員制度が必要なんだな、ということにも納得できるのではないでしょうか。
■ 冤罪を防ぐために・・・
先日、痴漢の冤罪をテーマにした「それでもボクはやってない」を見ましたが、「否認したら帰れない」「自白の強要っぽいこと」は現実にあるようですね・・・。
ただ、そういった状況を改善するために、検察による取調べをビデオにとって法廷で証拠として提出するようにしましょう、という動きもあるそうです。検察側が一方的につくった調書だけでなく、取調べ中に実際に供述したことをビデオで見せることによって、それが「自白の強要だったのか?」を正しく判断できるようになりますよね。
またこれも本書で知ったのですが、裁判では法廷での供述よりも、検察がつくった調書の方を重視するらしいです。そのためにも調書が正しく作られたのかをビデオで確認できると良いですよね・・・。はやいところ義務化して欲しいところです。
他にも実際に裁判員になったらどうなるのか、何をするのか、といったことが具体的に書かれています。いざとなったときにあわてないときにもあらかじめ本書を読んでおくことをおすすめしますよ。
またあまり歓迎したくないことではありますが、自分が裁判沙汰に巻き込まれたときは「なるべく早く弁護士に相談する」というのが一番だそうです。ただ、弁護士さんというと、なにかととっつきにくいですよね・・・。そこで現在は「法テラス」という相談窓口にあるそうです。国が設立した法人なので存在を知っておくのも悪くないのではないでしょうかね。

筆者も認めるとおり、裁判員制度にはまだまだ議論すべき余地があるのですが、全否定するのではなくて、「どうしたら国民が司法にもっと参加できるようになるか」という視点を持ちたいものです。
現在司法の世界で何が起こっているかを知るには良い入門書なのではないでしょうか。おすすめしておきます。
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