- 2009-03-30 (Mon) 9:41
- 書評

まずは献本御礼。献本だからというわけではないですが、これはかなり良い本です。いまのところ今年のベスト本(まだ3月末だけど)。テンションあがりまくりです。おすすめしておきます。
筆者は研究所でマグロの鮮度保持剤を研究していた斉藤さん。研究にたちゆかなくなったところで「マグロのことを知るにはマグロ船だろ?」と上司に言われ、ドナドナ的にマグロ漁に連れて行かれますw。
そのマグロ船で彼は漁師さんにさまざまなことを学びます。素朴ながらも脈々と現場で受け継がれる彼らの言葉は珠玉の名言だらけです。
特に勉強になるのが「対人ストレスをためない方法」です。
狭い船内ではなるべく対人関係のストレスをためないことが重要になります。そのためにどういう考え方を漁師さんはしているのか、ということを教えてくれますよ。漁師さんの言葉はときとしてわかったようなわからないようなものが続くのですがw、なんだか心にぐっと響きます。
なお、そうした人生訓だけでなく、「マグロ漁って何やっているの?」「海で生活するってどういうこと?」といったことも今まで接点がなかっただけにかなり勉強になりました。そういう知識を得るためにもおすすめです。
さて、せっかくなので個人的にぐっと来た言葉をいくつかご紹介。
- 「結果ばかり気にするとその途中で見られるおもしろいものを見逃すんど」
- 「人間はの、感情をコントロールできるんど」
- 「努力はたいてい報われんぞ」
- 「便利になれば幸せになる、というのは全部幻ぞ」
- 「海の上での『死』はすぐ真後ろにいるんど」
- 「いつもそんな風にそっけなく答えちょるんか?」
- 「間違いを指摘するのは誰にでもできるど」
結果がでなかったらどうしよう、と悩む斉藤さんに漁師さんが言った言葉。どうなるかわからないことを心配するより、その過程を楽しむべき、という彼らの知恵です。
漁が失敗に終わるかもしれない、とくよくよしていたら珍しい魚も見逃して損をするぞ、と漁師さんは言います。「そういう途中でおきることはあとで必ず役に立つ」と漁師さんは力説します。ちなみに、彼らにとっての「役に立つ」は「キャバクラでウケるんど」ということらしいですがw。
マグロが捕れない日が続いても漁師さんは平然としています。「心配じゃないんですか?」と斉藤さんが聞くと、「人間は犬じゃない、感情をコントロールできるんだ。うまくいかないときにコントロールできんでどうする」と逆に返されます。
よく考えれば確かにそうなのですが、普段の仕事では必要以上に「うまくいかないこと」に反応しすぎかもしれませんよね。上司に怒られてひどく落ち込んだり、はては雨が降ったら憂鬱になる、といったこともあるかと思いますが、漁師さんの話をきいているとそれらも小さいことなのかな、と思えるようになります。
「たいていの人が言う努力は、3回に1回うまくいくようなことを望んでいるように聞こえるの」と漁師さんは言います。しかし、自然を相手にしたマグロ漁では100本の釣り針に1匹かかるぐらいです。
結果を期待しすぎて努力すると、うまくいかなかったときにがっくりきてしまいます。過剰な期待はストレスをためるだけ、というのが漁師さんの主張なのです。
むしろ不便な方がみんなで助け合ったりして、心の中に幸せを感じるし、難しいこともできるようになるんど、と漁師さんは言います。便利ばかりを追求して人とのコミュニケーションを考えないようになるのは問題だ、という考えですね・・・確かに。
「陸の人にとって死は遠い存在かもしらんが、海では違う」と漁師さんはいいます。どんなに小さなミスでも船は沈む、だから釣り針を磨くような作業であっても心をこめないとだめなんだ、と口をすっぱくして斉藤さんに伝えます。小さなミスが致命的なトラブルに発展する可能性がある、と肝に銘じながら仕事をしたいものですよね・・・。
「暑いのぉ」という船長さんに「赤道ですからねぇ」と答える斉藤さん。そんな受け答えじゃだめだ、と船長さんは叱り飛ばします。「赤道だから暑いのは俺でもわかっちょる。そうじゃなくて、挨拶じゃ、そこから会話を始めよう、という合図なんじゃ。なんでもいいから思いつくことを言え」。
ストレスをためないためにはなにげない会話が大事ですよね。普段のちょっとした会話で何に気をつけるべきかを教えてもらいました。
船内ではお互いにほめあう文化がある、と斉藤さんは気付きます。そこで漁師さんにその理由を聞きます。「間違っていることを指摘するのは誰にでもできる。でも昨日できなかったことを今日できるようになったら、ほめられるのは毎日見ているおいどーにしかできん」。だからほめるんだ、その方が気持ちが良かろう、と彼らは考えているのです。これもストレスをためない秘訣ですよね。
他にも素晴らしいエピソードがたくさん紹介されていますよ。対人関係のストレスがちょっとね・・・という方は一度読まれてみてはいかがでしょうか。
またマグロ漁の現場のお話もかなり興味深いです。どくどくと脈打つマグロの心臓の話、マグロをつり上げたらどう処理するかの話、船の名前ってなんで『~丸』なの?、といったお話の数々はきっと人に伝えたくなりますよ。まずはこの本を題材に身近な人と会話を始め、ストレスをため込まない練習をしてもいいかもですね。
Comments:1
- t.okubo 09-03-30 (Mon) 15:16
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正に目から鱗です。
使い古されてる言葉ですが、説得力が違いますね。
早速注文しました。
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- 【書評】 会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ from IDEA*IDEA ~ 百式管理人のライフハックブログ
- trackback from flyblind 09-03-31 (Tue) 21:33
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[job,design]「考えない」という手段。
脳の中がぐちゃっとしてるのがよくわかる1日。昨日と別人。逆に、笑えてくる。自分の感情のうごきを客観視できるようになったと思う。こういう時に、なにか問題を改善しようとしても、うまく脳がはたらかないこと自体に落ち込んでくるので、「考えない」を選択したい。 仕
- trackback from くりおね あくえりあむ 09-04-22 (Wed) 6:26
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BOOK 「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」 斎藤正明
知人に紹介されて知った本。タイトルが印象的で、気になっていました。 マイコミ新書ってマイナーなので見つけるのにちょっと苦労しましたが、結局会社のある駅ビルの中の



























