「フェルメール 光の王国展」に行ってから絵画の見方が変わったと思います。
単に綺麗だな、迫力があるな、というばかりではなくて、その時代の背景を考えることを覚えたからです。
残念なことに美術館にはあまりそうした時代背景や、描かれているオブジェについての深い説明がないのですが、美術書をひもとくとそういった説明に行き当たることがあって「あー、なるほどねー」と合点が行ったりします。
というわけで「一見、全然怖くないけど、時代背景やらを知ると怖い」という絵を集めた「怖い絵」を読んでみました。
きれいなバレリーナが踊っている絵も、「実はこの時代のバレリーナは娼婦同様だった」と聞けば、まわりの人物が違って見えてきます。おー、確かに怖いかも!という驚きがあってよかったです。
他にも一見、全然意味がわからない4つの絵があったのですが、これについても、当時はやっていた戯曲のあらすじを追ったものだと知れば「あー、なるほど、つじつまがあうわー」とわかって、妙にすっきりすることができました。
なお、本書ではこうした解説が20の絵画についてなされていますが、すべてが「一見怖くないけど、よく知ると実は怖い」という絵ではありません。
なかには「見るからに怖いけど、画家のバックグランドを知ったらもっと怖く見えてくるかも?」というふわりとしたものもあるので、それぞれの解説によるアハ体験的な驚きはあったりなかったりかと思います。
ただ、どちらにしろ絵画をより深く知るための方法がいろいろ解説されていて勉強になりました。芸術は多角的に理解しないとだめですな。