【書評】 ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術

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2013-06-04 19.11.13

さてしばらく読んでいた本をご紹介。500ページ強もあるので、ひさびさに「疲れたな・・・」と思える本でしたが苦笑、内容はとても良かったです。わりと万人におすすめかと。読み終えたあとには、たしかに人生においてトクをするかと思うので早めに読むのが良いかもですね。

本書は一言でいうと交渉術の本なのですが、従来までの「なんとか相手をやりこめて自分に有利な方に・・・」というギスギスした方法ではなくて、「双方の利益を満たすような、創造的な解決策を考えようではないですか!」といった手法を提唱しています。

そのための思考モデルと12の戦略が紹介されていて、本書を読み終えたあとにそれをリスト化して活用すればかなり効果は高いでしょう。ただ、それらの思考モデルよりも本書がすごいなぁ、と思うのは事例の豊富さです。

大学や企業で交渉術を教えまくってきた著者の「事例のひきだし」はかなり膨大で、1ページに2〜3個の例が出てくるといっても過言ではないのでは・・・。これだけ分厚い本を読破できたのは、その豊富な事例が身近なものばかりだったので「あ、これ、今度使えるかも!」のオンパレードで読むのをやめることができなかった、というのが大きいです。

ちょっとしたお店でトクをする方法、ビジネスの交渉でトクをする方法、子どもと交渉する方法、人間関係でうまくいく方法、それらの例が次々と出てくるので、「交渉は段階的にすすめよう」という単純な戦略も、「あぁ、それはこういう風に使うのね」と妙に納得できます。

なお、せっかくなのでいくつか紹介されているテクニックのうち、個人的に特に「使える!」と思ったものをご紹介。

■ 不等価交換ができないか模索しよう

交渉に関する次のような小話が個人的に好きだったりします。

ある日、2人のガンマンが一個のオレンジをめぐって決闘をした。結果は相打ち。一人は「オレンジジュースが作りたかった・・・」と言いながら息絶え、もうひとりは「オレンジの皮でマーマレードが作りたかった・・・」と言って死んでいった。

この小話が示唆しているのは、「人は必ずしも同じ物を欲しがっているわけではない。情報を共有すれば交渉の余地は生まれてくる場合もある」というものだと理解しています。

この主張は本書では「不等価交換ができないか模索しよう」として、たびたび紹介されています。

実際、いかんともしがたいと思われた交渉が、双方が話し合うことでするりと解決していく事例がたくさん登場します。「いろいろ話を聞いていたら、交渉相手にとって価値があったのは、値引きではなくて、ある試合のチケットをうちが手配してあげることだったのです」といった具合です。

一見、本筋の交渉とは関係ないところでも、情報を共有しあうことにより、価値の交換が出来る可能性が生まれてくる、ということは覚えておくと良いかと思います。

■ 相手が思い描いている「絵」を想像しよう

以前、お世話になっている方に教えてもらった、次のような話を今でも覚えています。

人はモノを買うとき、その値段を常になにかと比較している。その「何と比較しているか?」を変えてあげるとマーケティングはうまくいく。コーヒー一杯が3,000円、というと普通の人はスタバのコーヒーと比較してしまい、「高い!」と思うだろう。しかし「このコーヒーは◯◯族に伝わる長寿の妙薬として知られています」といえばちょっとは考えるはずだ。何かを売るときはその人の頭の中の「絵」が今どうなっているかを考えるようにしなさい。

この話はマーケティングの話ですが、同じ事が交渉にも言えます。相手が何を欲しがっているのか、どういう結果を望んでいるのか、という思考ステップはあたりまえではありますが、しっかり行わないと見落としがちなポイントになっています。

本書では特に「役割交換」のシミュレーションが推奨されています。相手の立場にたって交渉をしてみると、今まで見えて来なかった「絵」が見えてきて、打開策が急に浮かんでくる、という事例も豊富です。特に人間関係をスムーズにするために必須のこの思考モデルは、たくさんの事例でもって疑似体験しながらしっかり身につけるべきだと思います。


他にもかなり使える思考モデルがこれでもか、というほどの事例とともに紹介されていますのでご興味のある方は是非どうぞ。すっごく長いですが、個人的にはとてもおすすめです。

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ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術
スチュアート・ダイアモンド、櫻井 祐子 集英社

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